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それに比べて俺と大雅先輩は、もうゲッソリだよ。一時間経っていないであろう放課後の教室でなあにしてるんだろう。
嗚呼、ほんと、俺達はなんで付き合わなきゃいけなくなったんだろう。
宇津木先輩のためだとはいえ、捨て身アタックにもほどがある。
溜息をつく俺達を余所に、「ほっらぁ」意識し合う、川島先輩が場を盛り上げようとした。
此処で大雅先輩、男を見せてくれた。ええ見せてくれたとも。限りない棒読みで俺に好きだと仰って下さいました。だから俺も答える。限りない棒読みで、実は俺も、と。
途端にアジくんと鈴理先輩は俺達の演技力の皆無に噴き出しそうになり、眉をつり上げる川島先輩はズカズカと俺達に歩んで各々の胸倉を掴んだ。
で、ぐわんぐわん揺すってくる。
「あんた達、それで世の中の夢見る女の子がときめくとでも思ってるの? あーん? なんでも野郎に好きを言えばいいってもんじゃないっつーの! 今の何処に萌えがある?! 100文字以内で説明してみろっつーの! それとも今のを“萌え”と名目するつもりなら、日本全国の夢見る乙女に謝れぇええ!」
「か、川島、おち、落ち着けっ!」
「川島先輩、ご、ごめんなさいっす! ごめんなさいっす! もっと真面目にするっす!」
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