某俺様、萌えに想いを(前編)

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「ったくもう。一々手の掛かる……、さっき本多がやったようなことをすればいいんだって。ほら、ぎゅーよ、ぎゅー!」 「テメェな。簡単に言うんじゃねえよ。俺達にも心構えっつのーがな」 「うっし、強行手段! 豊福、ちょいこっちこっち」    川島先輩が俺の腕を引いて歩き出す。  何処に向かうのか、考える間もなく俺は悲鳴を上げた。  ま、窓辺は禁技っすよ!  此処は四階っ、うわっ、うわぁああ背中を押さないっ、ぎゃぁあああ!  背中を思い切り押されてしまったせいで、窓辺に歩み、四階の景色を見た挙句、下を見てしまった俺はギャーギャー悲鳴を上げてBダッシュ。無我夢中で廊下側に逃げると、「ムリムリムリぃいい!」相手に泣きついた。   「こら、豊福! 傍にいる二階堂に抱きつかないで、なーんで鈴理に抱きつくわけ?!」  そ、そんなこと知らないっすよっ……、俺はっ、俺はっ、四階の高さを直視しちまったすぅうう!  半泣きのガタブルで彼女を抱き締める。  よしよしと背中を擦ってくれる鈴理先輩は、「これぞ教育の賜物だな」目をキランと輝かせた。 「空は所有物の自覚が出ているようだ。あたしに抱きつき、恐怖心を拭おうなんて意地らしい。そう意地らしい。ゴックン……、さてと、イタダキマス」 「うわっづ! す、鈴理先輩、なに押し倒してっ!」     
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