某俺様、萌えに想いを(前編)

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 お家に帰りたい、しっかりと通学鞄を抱き締めたまま俺は心中で涙を呑んだのだった。  □    宇津木ワールドの住人になりきろう!  Lesson3:自主勉強してみよう   「―――…ったく、女子に任せたから、変に観られているような気がして動けなかったんだ。此処は野郎同士で勉強していくってのが筋、テメェ等、ちゃっちゃと勉強するからな。ついて来いよ。特に豊福、テメェは気合を入れて勉強しねぇとぶっ飛ばすからな」  女子がいなくなった途端これだもんなぁ、大雅先輩……、すっげぇ態度でかいっす。  俺達が後輩だからってのもあるんでしょうけど。  ガックシ肩を落とす俺を余所に、アジくんが「此処で勉強なんですか?」と目前の店に首を傾げる。  頷く大雅先輩は意気揚々胸を張って答えた。宇津木先輩に引き摺られ、兄と此処で彼女の趣味に付き合わされた事がある。したがって此処で勉強できることは間違いないのだと。  勉強できるって言っても此処、本屋っすけど。  俺とアジくんは本屋を目の前に「……」「……」言葉を失いかけていた。  だって、まさか人目のつきやすい本屋で勉強するとか思わないじゃないっすか。どうやって勉強するつもりなんっすか、大雅先輩は。     
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