某俺様、萌えに想いを(前編)

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 俺達の疑問を余所に、「入るぞ」先輩はさっさと本屋の自動扉を潜ってしまう。  そうなれば必然的に俺とアジくんも背を追わなければならないわけで……、うん、しゃーない、行くか。腹を括りなおし、俺達は先輩を追って仲良く本屋へ。  スタスタと歩く大雅先輩の後を追っていると、彼は漫画コーナーのその奥、とある一角のコーナーで立ち止まった。  俺とアジくんも立ち止まり、コーナーを拝見。見事に顔が引き攣った。  表紙からして、その、あれだ、宇津木ワールド全開! ガンガンいくぜ! というオーラが醸し出されているイカガワシイ本たちが並列されている。  人気作・新作のように表紙の面を向けられている本は勿論、棚にもずらーっとイカガワシイ本が詰め込まれていた。  嗚呼、これが噂の宇津木ワールドパラダイス、なんて数の多さだ。  アダムとイブを作った神様も失神しそうな宇津木パラダイスの多さ。女の子の気配がまるでない。おかしいな、人類、男と女がいて子孫は繁栄される筈なのに。  野郎三人でコーナーに佇んでいると、大雅先輩がおもむろに一冊を手に取った。倣って俺達も一冊ずつ拝借。文庫を手に取って中身を開いた。で、ぱらぱらと中身を捲る。 「「?!」」     
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