某俺様、萌えに想いを(前編)

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 絶句している俺達に、「そうそう」最後らへんのページは気を付けろと大雅先輩は肩を竦める。  濡れ場の挿絵が多いから、と助言して下さったんだけど、ちょっち言うのが遅かったっす。  バッチシと俺等……、見ちゃいましたっす。野郎のあらららおよよよシーンを見ちゃいましたっす。まる。  ぎこちなくページを閉じた俺とアジくんは想像を絶する世界だと青褪める。  なんだろう、この背徳感にも似た気持ちは。居た堪れない。平然と中身を見ている大雅先輩はある程度の免疫があるらしい。さすがは宇津木先輩の妄想標的(ターゲット)。肝が据わっているっす。 「んー、優等生と不良か。ちげぇな……、俺達ってどういうジャンルに属するんだ。俺が俺様っつーのは分かるけど…豊福がなぁ。これは? あー、義兄弟か。ちげぇよなぁ。って、おいテメェ等、ちゃんと資料になるようなもん探せって」 「あ、はいっす。だけどいっぱいあり過ぎて……、どんなのがいいんっすか?」 「俺と豊福っぽいもの」  抽象的っす、それ。  唸り声を上げて俺とアジくんは文庫を手に取る。  なんだかケータイ小説を強制的に読まされているような気分だなぁ。というか……、鈴理先輩から貰ったケータイ小説を参考に男女逆転ならぬ野郎同士の話を考えればいいような気もするんだけど。     
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