某俺様、萌えに想いを(前編)

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 まあ本場の宇津木ワールドを調べるってのも大事だよな。     えーっとナニナニ、『どうして俺は幼馴染みのあいつを好きになってしまったのだろう。あいつには彼女がいるって分かっているのに。この気持ちを伝えたところであいつは、困るだけ。だったら俺は幼馴染みのままでいよう』か。  うーん、この小説は切ない系か?  切ないには切ないけど……、なんだかこれ大雅先輩みたいだなぁ。  大雅先輩、楓さんの婚約者を好きになっていて……、んでもって幼馴染みで……、好きな気持ちは伝えようとしない。幼馴染みのままでいいって思っている。相手を困らせると分かっているから。   (だけどやっぱり好きなんだろうなぁ。落ち込んでいる宇津木先輩のために、嫌々でもBLを演じようってするってことはさ)     パラパラとページを捲る俺は、文庫を戻して大雅先輩を盗み見る。  真顔で文庫と睨めっこしている俺様系ミートロール男子に微苦笑してしまった。ほんとうに宇津木先輩が好きなんっすね。こりゃ、俺も一肌脱いで協力しないとな。  「さてと」お次はどれを調べてみようか。文庫を見比べて腕を組む。なるべくソフトな表紙を選びたいんだけど、如何せんどれも男同士で抱擁したりナニしたりだから。       
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