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遠慮している俺の腕を引いて、大雅先輩はズンズンと大股で歩き出す。
ラッキーだと笑うアジくんは部活をサボって良かったと頬を崩し、俺は俺で嬉しそうに歩く大雅先輩に一笑した。ホント俺様だよなぁ、こういうところ。優しい俺様っつーのかなぁ。
友達がいないわけじゃないと思うけど性格上、絶対に少ないだろうから、こうやって友達と食べることが嬉しかったりするんだろうな。
俺自身も彼に振り回されてばっかだけど、嫌いじゃないよ。この人のこと。偉そうにすることが多いけど、本当は大雅先輩すっげぇ優しい人なんだって俺は知っている。じゃなきゃ宇津木先輩のことで一生懸命になんかならないもんな。
はてさて、それはいいとして……。
「大雅先輩、アジくん、どうして、さっきの女子達がファーストフードまでついてきていると思います?」
「……、気にするな豊福。気にしたら負けだ」
「そうだぞ空。んじゃ、イタダキマース!」
ハンバーガーに齧り付くアジくんを余所に、俺と大雅先輩は観察されるような視線をグサグサ受けながらポテトを食べていたという。
結局その日、俺と大雅先輩はどこぞの誰とも知らぬ女子達に大変な誤解を買ってしまったのだった。
嗚呼、俺たちってなんて不幸だろう!
(後編へ)
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