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教室に遊びに来た俺は比較的いつもよりも大人しい鈴理先輩に気付き、取り巻く空気に陰りがあったから、何かあったのかと彼女に尋ねる。意味深に溜息をつく鈴理先輩は、俺の腰を触りながら返答した。「ちょっと気掛かりがあってな」と。
撫で撫でお触りお触りしているおイタな手を捕まえながら、「気掛かり?」俺は聞き返す。
頷く鈴理先輩は、「な?」と近くにいた川島先輩に視線を流した。
これまた深い溜息をつく川島先輩は、窓辺に流し目。つられて視線を流せば、教室の後ろで窓の外をぼんやりと眺めている宇津木先輩の姿があった。なんだか元気が無さそうだ。覇気がない。
挨拶しようと声を掛けても、生返事しか返してくれなかった。何かあったんだろうか?
まあ、人間、いつも元気というわけじゃない。嬉しいこともあれば、悲しいこともある。
今日はたまたま元気がないのかもしれない。
そう軽く思っていた俺なんだけど、宇津木先輩の様子は三日経っても変わらなかった。ぼんやりしては肩を落として溜息ばかり。
「どうしましょう」ズーンと落ち込んで、悶々と悩んでいる様子が見受けられた。いつもうふふのあははと、元気ハツラツに妄想している先輩を知っているからこそ、流石に心配になる。
付き合いの浅い俺が心配を抱くんだから、当然仲の良い鈴理先輩や川島先輩も心配になるわけで。
もっと言えば、片恋を抱いている大雅先輩もスンゲェ心配するわけで。
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