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壁に手を添えて、「くそっ」あたしとしたことが大雅に負けるとは、とブツブツ文句垂れている。フフンと鼻を鳴らして笑う大雅先輩は、許婚が暴走しそうになったら止めてやってくれと川島先輩にフォローを要請。
すっかり指揮官に成り上がっていた。頼もしいとはいえ、ちょっと調子付いた感もするけど気のせいかな。
「あ。話をしていれば百合子じゃん。ほら、二人とも」
川島先輩から出動命令が下った。
返事をする大雅先輩は、俺に声を掛けて歩き出す。慌てて俺は彼の後を追った。
あぁあ、だ、大丈夫かな……、宇津木先輩を元気付けられるような言動、これっぽっちもできる自信なんてないんだけど。
オドオドする俺に、「普通にしてろ」昨日話しただろ、大雅先輩は軽く頭を小突いてきた。
「あいつは仲の良い野郎同士を見て、脳内変換、物の見事にカップリングを作り上げるんだ。俺達は普通に仲良くしてりゃいいんだよ。ちょっち親密度は上げなきゃなんねぇけどな」
「仲良く……っすか。そうっすね、意識しないよう普通にしておくことにするっす。変に意識してもぎこちないっすもんね。宇津木先輩のために頑張りましょう」
目尻を下げれば、「ああ」先輩もクシャリと端麗な顔で綻んでくる。
ついつい俺は微笑ましくなった。大雅先輩、宇津木先輩に元気になってもらえるよう張り切ってるんだなぁ。
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