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「(これは食いついていますね、大雅先輩)」
「(ああ。スッゲェ熱い視線を感じる……、ノッケからこんなにも食いついてくるとは思わなかったけど)ってっ、あ、バッカ!」
おっとっと、俺は背後を気にし過ぎて足元への注意を怠った。
段を踏み外しそうになって転倒する俺の腕を掴み、「トンマ」何してるんだと大雅先輩が上体を起こしてくれる。
すみませんと頬を掻く俺に、心臓に悪い奴だと大雅先輩は溜息をついて腕を引いた。
と、同時に。
キラキラキラキラ、超すっごいキラキラオーラを向けられる。
「もしかしてお二方は無自覚に好意を寄せあ……、ダメダメ、空さんには鈴理さんがいるのですからそんなことは。嗚呼、だけどこれはとても美味しいっ……、どうしましょう。どうしましょう」
わたわたと興奮している宇津木先輩は、これは調査する必要があるかもしれない、と盛大な独り言を口ずさんで胸を躍らせていた。
予想以上の手ごたえに俺達は喜びを通り越して冷汗だ。本当に宇津木先輩、落ち込んでいるのだろうか?
疑心を向けてしまうほど、彼女の喜びようは凄まじい。冷静になろうと深呼吸をしている始末。
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