某俺様、萌えに想いを(前編)

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 昼休みもふらふらーっと一人で図書室に籠もってしまう宇津木先輩の様子に、なんで彼女が落ち込んでいるのか、元気がないのか、皆が皆、気掛かりになって仕方が無かった。     「どうしたんだろうなぁ。百合子……、全然元気ないなんて。ねえ、二階堂。あんたの兄貴と百合子、喧嘩でもしたんじゃないの?」    学食堂で昼飯を食い終わった後も、悠々と席を陣取っている俺達は宇津木先輩の様子について話していた。  川島先輩は自分や鈴理先輩にも相談してくれないものだから、何か身内であったんじゃないかと質問。  宇津木先輩は大雅先輩のお兄さんの許婚だ。  もしかしたら許婚同士で喧嘩でもしたのかもしれない。だったら相談しないという点も納得する。薄茶を啜る大雅先輩はちょっと考えて、「兄貴と喧嘩なんて」聞いてねぇけどな、と眉根を寄せた。  兄貴は至って普通だし、元気だし、おっちょこちょいのバカだし……、それにあの二人は喧嘩するようなタイプではないと意見した。 「なにせお互いがお互いに電波だからな。会話が噛み合わないことが多々だ。喧嘩するどころか、話がズレにズレて、お互いになんの話をしてるんだろう? まあいいっか。で、話を進めやがるし」  例えるなら、そうだな。  林檎は何故赤いかどうかで話しているとするぞ。     
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