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とにもかくにも頑張ってみたんですよ、俺達は。恥を忍んで頑張ったんっすよ。
だけどここぞという押しが足りないのか、宇津木先輩は元気なったり、シュンっとなったり。
何かが物足りないと仰ってくれた。うむ、腐女子さんってのも意外とシチュエーションを要求してくるんだな。物足りなさを訴えてくるなんて。どうするれば彼女の心を掴めるか、元気付けられるか、お手上げ状態になった俺と大雅先輩はその日の昼休みに緊急会議。
中庭の木の根元に座って、俺は弁当を食いながら、大雅先輩は購買のパンを食いながら、この状況をどうするべきかと神妙な面持ちで語っていた。
「参ったなぁ。あいつ、やっぱ求めているのは友情じゃなくて恋愛なのか。最後の一押しがどうしても足りないみたいだなぁ」
ヤキソバパンを頬張る大雅先輩は、「押し倒しか?」百合子の目の前で俺が豊福を押し倒すしかねぇのか、ゲンナリして肩を落とす。
それはご免被りたい。さすがの彼女も黙ってはいないと思う。俺は引き攣り笑いを浮かべながら、箸でたくわんを抓んだ。
「大雅先輩って、ほんと、嫌々ながらも宇津木先輩のためによくやりますよね。フツーは此処までやりませんよ」
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