18人が本棚に入れています
本棚に追加
/252ページ
何処かで重荷になりたくないって思っているのかもしれません。ただでさえ生活で苦労していますし。
「なあ、そう思うって寂しくないか? 豊福」
不意に会話を止められる。
「分かんないっす」俺は生返事した。本当に分からないんだ、それが寂しいってことが。
そしたら大雅先輩、不器用な奴だと苦笑いして背中に体重を掛けてくる。「重いっす」抗議すると、「んじゃこうだ」大雅先輩が雑草の絨毯に寝転んだ。俺も強引に寝転ばされる。見上げれば、眩しい木漏れ日に合間から見える青空。気持ちが良いな。自然と肩の力が抜ける気がする。
「豊福はさ」
どっかで寂しいんだと思うぜ、大雅先輩が肘を立て、そこに頭を預けると俺を見下ろしてきた。美形は柔和に綻ぶ。
「分からねぇなら分からねぇでいい。気付いたら、俺が教えてやっから。そりゃ寂しいんだろって。寂しい時は、しょーがないから傍にいてやるさ。一人じゃどうにもなんねぇ時ってあるだろ?」
「ははっ。見返りが怖いっすね」
「庶民のテメェの見返りなんざ高が知れてるっつーの。ダチだし、なんかあったらテメェは俺の傍にいときゃいいさ」
なんっすかそれ、口説かれてるんっすか。
最初のコメントを投稿しよう!