ぬくもり欲しな彼氏

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 ただでさえ家計簿が火の車になりかけていたってのに、子供を引き取って大事に育ててくれたんだ。  俺は俺を引き取ってくれた両親に感謝しても感謝し足りない。  いつか両親を幸せに出来るだけの力を持てればいい、切に思う事だってある。わりと両親至上主義だった俺だったからこそ、自分の封されていた記憶を思い出した時はショックでショックで居た堪れなかった。いや居た堪れない。それは現在進行形だ。      重たい瞼を持ち上げた俺は、いつの間にか零していた涙を拭うこともなく、忽然と宙を見つめていた。  飛び込んでくる光景は見慣れた一室じゃない。なんとも豪勢で豪華な造りのホテル部屋だった。昨日、両親の記憶のことで鈴理先輩と喧嘩して(というか一方的に俺がキレて)、彼女の前で記憶が戻っていることを吐き出して、泣いて愚図って懺悔して此処に来た。  鈴理先輩に好きだってことも伝えた。もう少しムードのある告白を狙っていたんだけど見事に玉砕。泣き腫らした顔で告白というなんとも情けない形になった。  でも俺は彼女に好きだと伝えられて良かった。それは本当のこと。  視線を持ち上げる。ひとつのベッドで彼女と眠ったものだから、俺の隣には先輩がいた。     
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