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でも彼女ならいいと思ったんだ。鈴理先輩ならきっと、受け入れてくれる。彼女の優しさに甘んじる俺がいた。案の定、先輩は弱い俺を受け入れてくれた。ひとりにしない、とも言ってくれる。
嬉しかったから本当に? と聞き返した。
何度も聞きたかったんだ。傍にいてくれるって言葉をさ。
そしたら先輩、しつこい俺にお誘いか? っておどけてきた。
それはないっス。スチューデントセックスはお断りっス。きっぱり断れば、「それでこそ空だな」笑声を漏らす先輩がいた。きつく腕に閉じ込めてくれる先輩は、「放してやらない」と耳元で囁いてくれる。
いつもなら困る台詞も今日は安堵ばかりが胸を占めた。
俺は俺の意思で先輩に抱擁を返し、また瞼を下ろした。先輩からいい匂いがする。安心する匂いだ。
安心は眠気を誘った。気付けば俺の意識は夢路を漂い、そしてプッツリと切れて沈んでしまう。
所謂二度寝してしまったんだ。
おやすみなさいモードに入った俺を起すこともなかった先輩の気遣いのおかげさまで、次起床したら11時半を回っていた。
一度目の起床は6時半だったから約5時間睡眠を堪能したらしい。学校なんてとっくに始まってる。焦らなきゃいけないんだけど、寝起きの俺は焦るどころか欠伸を零してばっかだった。
先輩は俺が寝ている間もずーっと傍にいてくれたから、寝巻きのまんま。
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