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でも気にすることなく、「午前中はサボるか」とにかく着替えて食事にしようと言って来てくれた。ここでやっと申し訳なさが出てくるわけだけど、先輩は気にしない気にしないと俺に一笑。
「勉強ばかりが人生じゃないぞ。それに空のムービーが沢山撮れた。結果オーライではないか!」
とかなんとか言って携帯を取り出す先輩は、ニコニコっとしながら携帯を操作している。
ぽかーんとしていた俺は先輩がなんのムービーを撮ったのか分からず、呆けるしかない。で、「え?」もしかして寝ているところをムービーしたんっスか? とおずおず尋ねる。
「正しくは二度寝している空のムービーだ」
キリッと顔を引き締める鈴理先輩は当たり前のように答えてくれた。
「空が何度も擦り寄ってきたんだ。しかもなしかもな、空は憶えていないかもしれないが、あんたはあたしの食指を舐めたんだぞ! それこそ猫のように! 唇を人差し指でなぞっていたらっ……、こ、これは携帯におさめなければ勿体無いではないか! 安心しろ、永久保存版として取っておくから!」
「なんの安心宣言っすか?! ちょ、それは消して下さいよ! 小っ恥ずかしい!」
「阿呆言うな」これはあたしの宝物なんだと先輩はいそいそと携帯を鞄に仕舞ってしまう。
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