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「いいか、あたしが良いと言うまで着替えるなよ」
しっかり釘を刺して洗面所の方に向かってしまう先輩。
一体何なんだろう。右に左に首を傾げた俺は、まあスラックスだけでも履いておくかとズボンを履く。ベルトを締めた俺は、ここでハタッと気付いた。もしや先輩、なにやらいかがわしいことを目論んでいるんじゃ。
それに気付いたら着替えをするしかない。禁止令が出されても知ったこっちゃないと、俺はさっさと制服に着替える。
だからこそ戻って来た制服姿の先輩に怒鳴られてしまった。
「何故着替えているんだ!」
あたしが着替えさせようと思ったのにっ、今の空ならなんでもできそうなのに! と、下心たらたらな台詞を吐いてくれた。
やっぱりそんなことだろうと思いましたよ。
「しかもあたしの目論見に気付いて慌てて着替えたな? ボタンが掛け違っている」
不満気に鼻を鳴らす先輩が俺のカッターシャツに手を掛けて、ボタンを外し始める。
これくらいなら大丈夫だと踏んだ俺は黙って彼女のやることを見守っていた。ぐーっと腹の虫が鳴ったから、「お腹減りましたね」俺は彼女に話題を振る。
「もう正午前だしな」
腹くらい減るだろ。
上から下にボタンを留めた先輩はこれでよしと頷いた。
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