某俺様、萌えに想いを(前編)

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 他のことで元気付ければいいじゃないかと物申した。だけど宇津木先輩が何よりも喜びそうなことといえば、ウェルカム宇津木ワールド。他に良い方法でもあるのかと川島先輩は聞き返す。    思い浮かばなかったんだろう。  困り果てた大雅先輩は、「そりゃあ」宇津木ワールドしかないと思うけどさ、と言葉を濁す。なかなか結論を出さない某俺様に苛立った川島先輩は、「分かった」あんたにはもう頼まないと鼻を鳴らし、学食堂を見渡した。 「他の男に頼むことにする。二階堂じゃなくても、エレガンス学院にはまだまだイイ男がいるだろうし。百合子を狙う男も結構いるしねぇ、頼めばしてくれる輩もいるっしょ」 「なッ、ね、狙っている輩?! だ、だってあいつは兄貴の」 「んなのカンケーないんじゃない? さあて、百合子を笑顔にできる男はー…、お? あいつなんて良さそう。俺様っぽそう。だけど、あいつだと見返りを求めて百合子を押し倒したりしそうだな」  「なー?」と含みある台詞を大雅先輩に投げ掛ける。  ああっ、これは軍配が、軍配が……、小刻みに体を震わしている大雅先輩はテーブルを叩いて勢いよく椅子を倒した。 「ッ~~~っ、わーった。わーったよ! 俺がやる! やりゃあいいんだろう!」  ハイ、この勝負、川島先輩の勝ち! ……最初から、大雅先輩に勝利の見込みもなかったっすけどね。 「さすが二階堂」     
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