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それらを感じながら、俺は彼女の背に手を這わす。華奢な体躯はすっぽりと腕におさまった。こんなにも小さな彼女だけれど、中身は男以上の肉食獣だなんて不思議なかんじだ。
(俺から攻めても無駄だよな。彼女がそれを望んでいない。でも)
こうしてたまには、積極的に求めるのも良いかもしれない。あくまで受け男として。
「空。エッチしたい」「それはダメっす」「むっ、生殺しなのだが」「いっぱいキスしましょう」「……うーむ」「まだ痕もちゃんとつけてもらっていませんし」「むむっ」「持ち物には名前を書くものでしょう?」「仕方がない妥協しよう」
戯れるように彼女の額が俺の額とすり合わせてくる。
受け止めて破顔を零すと、彼女が本当に嬉しそうな笑みを返してきてくれた。
少しならず、胸キュンなシチュエーションを作れているのかと思うと、やっぱり逆転したままでいいやという気分になった俺、豊福空だった。
Fin.
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