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 そのまま地下鉄に乗っているうちに、「あれ」と俊太が呟いた。 「もう10分近くは乗っているけど、隣の駅に着かねえじゃん」  確かに、駅を通り越したわけでもなく、3分で着くはずの隣駅にも着いていない。 「大体、なんでこんなに空いているんだよ。俺が乗った電車なんて人身事故で電車が遅れていたから、すげえ混んでいたのに……」    人身事故なんてあったかな……?  俊太とは反対側の電車に乗っていたとはいえ、俊太を待っている間にもそんなアナウンスがあった記憶はなかった。 「それ、どこの駅であったの? 人身事故」 「えっ?」    私の言葉に一瞬、俊太の動きが止まった。 「どこだったかな……?」  真顔になって俊太が額に手を当てて俯いた。 「千秋の方は大丈夫だったのか? 俺の方は暫く動いてなかったみたいで、俺が乗った頃に動き出したからすげえ混んでいたんだよな」 「……私、俊ちゃんより少し前に帰って来たけど、そんなことなかったよ」 「おかしいな……」  俊太は何か混乱しているのだろうか? 
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