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 去年の夏、確かに俊太と一緒に小さな女の子の家に行った。  俊太が友達と海に行った時に、娘が溺れて沈んだと、その子のお母さんが半狂乱で叫んでいたらしい。俊太たちは助けようとしたけど、友達と数人がかりで砂浜まで引き上げた時にはもう手遅れだったと……。  たまたま家が近かったから、俊太に付き添って欲しいと言われてその亡くなった女の子の家にお線香をあげに行ったのだ。 「だ、だけど、今の子は……」  私はさっきの黒いワンピースの女性が視界に入ってハッとした。  あの女性は近所の通りを歩いていて、通り魔に襲われて亡くなった人だ。  ニュースにもなって、あの真っ黒な大きな瞳が印象的だった。 「どういうこと……?」    私は俊太の制服の半袖シャツをギュッと掴んだ。 「わかんねえ。けど……」  絶句したように、俊太が私を肘で突いた。  隣の車両から男の人が歩いて来たのが見えた。  こちらに向かってくるその人は、中2の時の担任教師だった。  そう、2年前に事故で亡くなったはずの……。
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