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隣で俊太が震え出した。私も不安になって俊太の顔を覗き込んだ。
「俺……、レギュラーになったんだ。おまえに試合を見に来て欲しくて、頑張ったんだ」
俊太が震えながら私のことを見つめている。
どういうこと……? 俊太の夢は絶たれてしまうの……?
私もつられたように、身体が震えていった。
「大丈夫だから……。千秋、怖くないよ」
いつもは照れてしまうところだけど、今の俊太は躊躇することなく私を抱きしめた。私もただ俊太にしがみついていた。
「俊ちゃん、何か混乱することがあるの……?」
私の言葉に、俊太は涙を流しているように感じた。
「もうすぐ着くわよ。貴方たちは、ここで離れなければいけない」
さっきの黒いワンピースの女性が私たちの前に立った。
えっ……? 離れるの? 一緒に帰れないの?
私は訳が分からなくなって、震えたまま俊太にしがみついていた。
「俊ちゃん……? どういうこと?」
それって、もしかして俊太は…………?
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