夢か現か

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*** 「十和さん、うなされてたよ? 怖い夢でも見た?」 赤坂くんに揺り起こされて、私はゆっくりと施術台から起き上がった。 「どうかな。私って夢をまったく覚えていられないから」 「それでいい。辛い過去の記憶を何度も夢で再生することによって、徐々に忘れ去っているんだ」 「今日の施術は終わり? 私、何だかピザを食べたい気分」 「そう? 僕は十和さんを食べたい気分」 私を施術台に押し倒すと、甘く微笑む赤坂くんの手が私の首を撫でた。 「あ。今、何かちょっと思い出したような……」 何か怖いこと。 でも、すぐに記憶は霞んでしまう。 ピタッと手を止めた赤坂くんが、探るように私を見つめる。 「大丈夫。怖い夢を見たら、また僕が消してあげるよ」 END
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