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僕は連休が取れる度、飛行機に乗り沖縄のとある島へと向かう。そこには僕の好きな人がいるから。
一人で小型の船に乗り込み、やっと目的地までたどり着いた。太ってしまったのかウエットスーツは少しきつく、笑われてしまわないか頭を抱える。
曇り止めをしっかり塗ったマスクを顔に装着し、シュノーケルを口にくわえ、さあ準備は万全だ。
太陽が二つあるんじゃないかと思える熱量を浴びながら、小さく揺れる船上から誘うように輝く水面を眺める。
そしてそのまま歩くように、船から一歩踏み出した。
体が平衡感覚を失うように沈み、やがて浮き上がると視界が広がる。
青一面だった景色は一変し、眼下には七色の世界。地球上の七割を占める海の中は、世界中の全ての色があるんだ。
幾つか深呼吸し、肺を酸素でいっぱいにする。
お辞儀をするように頭を海面に入れてから、足を太陽へ突き上げ逆立ちする。
すると僕の体は真っ直ぐ落ちていった。
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