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「…母親。俺が実家を出てから飼い始めたんだ」
「五十川さんの代わりなんですねぇ…ふふっ」
「名前を考えるのが面倒だっただけだろ。ニヤつくな、気持ち悪い」
「スミマセン…よくここで散歩させてるんですか?」
「時々。実家に帰ると押し付けられんだ」
「俺も学生時代からのジョギングコースなんです。もしかしたらすれ違ってたかもしれませんね、」
人間の話を聞いているのかいないのか、犬のソーシが「ワフッ」と返事をした。
「おっ、会ったことあるって?賢いな、ソーシは」
「お前…面白がってるだろ」
「はい!」
「…ハァ、言うんじゃなかった」
「良い意味で、面白いです!」
公然と総士という下の名前を呼べることに浮かれている自分がいる。
「面白いに良いも悪いもあるか!つか、ジョギング中じゃないのかよ。いつまでついてくる気だ」
もう少しこうしていたいのが本音だが、長居するとまた溝ができてしまうかもしれない。
「それじゃあ月曜日に」
「おー」
「ソーシも、またな!」
「さっさと行け」
五十川さんとの距離が縮まった気がして単純に嬉しい。
きっと、もっと仲良くなれる。そしていつか、笑った顔も見てみたい。
…
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