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「やっぱり若いと覚えも早いな」
根津さんが稼働している印刷機の音に負けないように声を張り上げた。
月曜日中に欲しい、と頼まれた商工会のチラシの印刷を割り込みで対応してもらっている。すぐ持っていけるように俺も手伝っていた。
「無理言ってすみません」
「いやいや、こんなもんだよ。ホラ、持ってけ」
「ありがとうございます!」
ひと縛り五百枚を八つ、四千枚のチラシを台車に乗せる。その上にA2サイズのポスター百枚を置いた。
時刻は午後四時。どうにか約束を果たせそうだ。
営業車にチラシの山を乗せ、俺は商工会の宮本さんの元へ急いだ。
外回りにも慣れてきたと思う。運転することで市街地の道路も随分覚えた。
五十川さんとの関係も最初に比べたら良好で、なんというか、仕事が俄然楽しい。
商工会議所に着き、ふたたびチラシとポスターを台車に乗せる。包装の上に貼っている見本ポスターの「地ビールフェスタ」の文字がガタガタと揺れる。
「お世話になりまーす、馬場印刷です」
事務の女性が、「はーい」と顔を上げる。
「どこに置きましょう?」
「どうしようかしら…とりあえずここで」
宮本さんは不在のようだった。
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