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…ええ?!
「お、落ち着いてください!」
混乱している五十川さんの両肩を持ち、顔を覗き込む。
冗談を言っているのではないとわかるのだが、それにしても、飛躍しすぎている。
笑ってはいけないが、動揺している五十川さんが珍しくて微笑ましい。
…発想が意外にファンタジーだし。
いつものクールさからのギャップでかわいいとすら思えた。
「落ち着いていられるか!」
「俺も探しますから、きっとどこかに置き忘れてるんですよ、」
すがるような眼差しを向けられ、ぎゅうと抱きしめたい衝動に駆られる。
安心させてあげたかった。ただそれだけだったが、腕を回そうとした自分に気付き慌てて身体を離した。
「一旦、事務所に入りましょう」
…俺、なにしようとした?
動悸がうるさい。
俺とは反対に、少し落ち着いたらしい五十川さんは、「…そうだな、」と言って先を歩いていく。
「でも本当に心当たりは全部探したんだぞ」
…抱きしめようと、した?いやいやいや!
「弥田?」
「あ…こ、行動を順番に思い出してみましょうよ」
「行動ったって、先方から電話がかかってくるまではデスクに置いてたし、」
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