7. 紛失

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…ええ?! 「お、落ち着いてください!」 混乱している五十川さんの両肩を持ち、顔を覗き込む。 冗談を言っているのではないとわかるのだが、それにしても、飛躍しすぎている。 笑ってはいけないが、動揺している五十川さんが珍しくて微笑ましい。 …発想が意外にファンタジーだし。 いつものクールさからのギャップでかわいいとすら思えた。 「落ち着いていられるか!」 「俺も探しますから、きっとどこかに置き忘れてるんですよ、」 すがるような眼差しを向けられ、ぎゅうと抱きしめたい衝動に駆られる。 安心させてあげたかった。ただそれだけだったが、腕を回そうとした自分に気付き慌てて身体を離した。 「一旦、事務所に入りましょう」 …俺、なにしようとした? 動悸がうるさい。 俺とは反対に、少し落ち着いたらしい五十川さんは、「…そうだな、」と言って先を歩いていく。 「でも本当に心当たりは全部探したんだぞ」 …抱きしめようと、した?いやいやいや! 「弥田?」 「あ…こ、行動を順番に思い出してみましょうよ」 「行動ったって、先方から電話がかかってくるまではデスクに置いてたし、」
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