7. 紛失

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俺はどうにか内心を落ち着けてベティを探すことに集中した。 「電話を受けて、そのまま印刷所に向かった。だからベティはデスクに置きっ放しだった」 「急いでた勢いで転がしたとか?」 デスク周りのフロアを探すがクマのぬいぐるみは落ちていない。 「無意識でベティを持って根津さんのところへ行ったとか?」 印刷所へ行き、根津さんにも聞いてみたが「ベティ?知らねえなぁ」とあっさり言われてしまった。 三十分ほど社内を探したがどこにも見当たらない。 「…もう、いいよ。悪かったな仕事まだ残ってるんだろ」 「でも…大丈夫ですか?」 「大丈夫。俺、帰るな」 全然、大丈夫そうじゃない。 …ベティはどこへ行ったのだろう。本当に泥棒が?クマのぬいぐるみを? 五十川さんはふらふらと事務所を出て行った。 もう笑えない。心配だが、引き止めたとしても俺にはどうすることもできない。 もやもやとしながら仕事を片付けるしかなかった。 * その日の夜、日付も変わろうとする時間に会社用の携帯電話が鳴った。着信は社長からだった。 「弥田、起きてたか?」 「ふぁい。どうにか」 「悪いが…頼まれてくれないか」 「なんです?」
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