ハンブーンの魔法

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とぼとぼと夜道をゆく 昼間は賑やかであろう商店街。今は殆どの店がシャッターを下ろし、どの人も足早に家路を急いでいた。 コンビニで買ったお弁当の袋を揺らし、浮腫んで重くなった脚を引き摺るように交互に動かす。 私は田村初江 今年で56歳になる。 高校を卒業してからずっと、同じ食品卸会社で事務員としてやってきた。 真面目だけが取り柄の女 結婚は…タイミングを逃した。 会社ではもはやお局を通り越して化石扱い。 陰口にさえ上ることもなく淡々と仕事をこなすだけの日々を送っていた。 「…ふう。」 やっとのことで安アパートの自宅に辿り着き、荷物を放り出して座り込む。
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