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「琉~歌っ!」
「ふぁ?」
いきなり後ろから声を掛けられて、琉歌は半分寝ぼけ眼で顔を上げる。
何でマオの声がするのだろう?
しかも、今、名前呼ばれた?
この家には、私1人の筈じゃ?
色んな考えが回らない脳味噌にグルグルと駆け巡る。
しかも、何か背中が温かい。
そう思って、琉歌は上半身をガバッ、と起き上がらせた。
窓から差し込む朝日が目に染みる。
うん、朝日?
あれ、自分は今日の小テストの為に勉強をしていた筈では?
そう思って、琉歌は部屋を見回した。
すると、目の前を見覚えのある顔が覗き込んできて、琉歌は目が一瞬にして、覚める。
「マッ、マオッ!?」
何で此処に!?と騒ぎそうになって、琉歌は昨夜の記憶がフラッシュバックする。
そうだ、昨日は学校帰りに高倉川へ行ったら死宣告者達を見つけて、拾ったんだった。
琉歌はう゛ーっと唸ると、背伸びをして目をこする。
そして、「どうしたの~?」と舌足らずにマオに訊いた。
寝起きは大抵、舌足らずになっている琉歌は、このクセを早く直したいんだよ―と思っていた。
「昨日、俺らを此処に運んで来た時、俺らの武器を見なかったか?」
マオの問いに琉歌は「え~、見てないよ?」と答える。
すると、マオは顎に手を当て、考える仕草を見せた。
イケメンがやると決まるよね―、それ、とぼんやり思う、琉歌。
琉歌は、マオに助言する。
「ここに来る前と来た後で減っているモノがあれば、増えているモノもあると思うから・・・・・・例えば、財布とか見てみて。
大抵、夢渡りしたのに理由があるんだったら、渡り先で使えそうなモノとか出てくる筈だよー。
例えば、戸籍とか、お金とか」
琉歌から助言されて、「そんな馬鹿な」と思いながら財布の中身を見ていると、見知らぬ札束がぎっしりと詰まっていた。
見た事もないその札束は、確かに異世界の物なのだろう。
その量にマオは目を見開く。
「おぉ~、中々お目に掛かれない諭吉さんがびっしりじゃないですかー」
「ユキチサン?」
「琉歌ぁ~、大変なのよー!
私の薬品と健瑚の銃がなくなってるの!」
「僕も呪幻術が使えなくなってるんだけど」
「俺のジョセフィーヌがぁぁぁぁああ!」
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