第3章「転入生」

2/23
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
「琉~歌っ!」 「ふぁ?」 いきなり後ろから声を掛けられて、琉歌は半分寝ぼけ眼で顔を上げる。 何でマオの声がするのだろう? しかも、今、名前呼ばれた? この家には、私1人の筈じゃ? 色んな考えが回らない脳味噌にグルグルと駆け巡る。 しかも、何か背中が温かい。 そう思って、琉歌は上半身をガバッ、と起き上がらせた。 窓から差し込む朝日が目に染みる。 うん、朝日? あれ、自分は今日の小テストの為に勉強をしていた筈では? そう思って、琉歌は部屋を見回した。 すると、目の前を見覚えのある顔が覗き込んできて、琉歌は目が一瞬にして、覚める。 「マッ、マオッ!?」 何で此処に!?と騒ぎそうになって、琉歌は昨夜の記憶がフラッシュバックする。 そうだ、昨日は学校帰りに高倉川へ行ったら死宣告者達を見つけて、拾ったんだった。 琉歌はう゛ーっと唸ると、背伸びをして目をこする。 そして、「どうしたの~?」と舌足らずにマオに訊いた。 寝起きは大抵、舌足らずになっている琉歌は、このクセを早く直したいんだよ―と思っていた。 「昨日、俺らを此処に運んで来た時、俺らの武器を見なかったか?」 マオの問いに琉歌は「え~、見てないよ?」と答える。 すると、マオは顎に手を当て、考える仕草を見せた。 イケメンがやると決まるよね―、それ、とぼんやり思う、琉歌。 琉歌は、マオに助言する。 「ここに来る前と来た後で減っているモノがあれば、増えているモノもあると思うから・・・・・・例えば、財布とか見てみて。 大抵、夢渡りしたのに理由があるんだったら、渡り先で使えそうなモノとか出てくる筈だよー。 例えば、戸籍とか、お金とか」 琉歌から助言されて、「そんな馬鹿な」と思いながら財布の中身を見ていると、見知らぬ札束がぎっしりと詰まっていた。 見た事もないその札束は、確かに異世界(このせかい)の物なのだろう。 その量にマオは目を見開く。 「おぉ~、中々お目に掛かれない諭吉さんがびっしりじゃないですかー」 「ユキチサン?」 「琉歌ぁ~、大変なのよー! 私の薬品と健瑚の銃がなくなってるの!」 「僕も呪幻術が使えなくなってるんだけど」 「俺のジョセフィーヌがぁぁぁぁああ!」
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!