1.満月

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1.満月

とある居酒屋は、 大学生の団体客で盛り上がっていた。 その中の1人の美咲 真琴 (みさき まこと)二十歳 はカクテルを手に大学の集まりの中にいた。 あまり話す事もなく1人ドリンクを口にしていた。 その時隣の友人の肘が真琴の手に当たった。 〈パシャッ〉 ドリンクは真琴の洋服の胸元に溢れた。 「あっ!ごめん真琴!」 友人は急いで謝った、 真琴はそのような事では怒らなかった。 「いいよ??ちょっとお手洗いで洗ってくるね」。 そこの居酒屋の手洗いに行くまでの道には外が観れるところがありその下には桜の木がある。 その先に手洗いがあった。 真琴はその中で洋服を少し洗い流すと外の月を見にいった。 「わぁ!綺麗!」 そこで空のてっぺんに輝く満月を見ていると後ろから微かに鈴の音が聞こえた。 真琴が振り向くとそこには和服に蛇の目の傘を手に持った黒髪の男がいた。 舞台俳優のように整った顔だった。 しかし男は右目に黒い包帯のようなものを巻いているのもあるのか少し不気味にも感じた。 まるで黒い蛇のよう…。 その男は真琴を見ると口角を少しあげ話しかけた。 「今晩はお嬢さん。 今夜は月がとても綺麗だね…」 真琴はいきなりの事に驚いた。 「えっ… はい…まるで違う世界に行けそうです …なんて思っちゃいます…」 「そうか… じゃあ違う世界に連れて行ってあげよう」 そう言って男は蛇の目を開くと真琴に近づいた。 その目は蛇の目だった。 真琴はその目を見ているとだんだん意識が遠くなり数秒後には意識が途絶えていた。
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