661人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
カバンを持って営業部のフロアを出た。
会社の人達を多少警戒しながらエレベーターに乗って1階に下りて会社を出る。
人間不審に陥ってるのは、今は仕方ない。
でもそれより、高瀬先輩と一緒にいることを見られることが恥ずかしいし、ウワサがたつのもいやだし…。
カフェ前でスマホを触っている高瀬先輩を見つけて、さらに心拍数が上がった。
えーっと…どうやって声をかけたらいいかな。
てか、どうやって歩いて、どう息をして、声を出すんだっけ。
なんて考えてるうちにどんどん姿は大きくなる。
あと10mくらい…7m…5m……。
「おっ、お待たしぇっ…お待たせしました」
パッと顔を上げた高瀬先輩は吹き出すように笑う。
「お待たしぇって」
「間違えました」
全然笑い止んでくれないことに、ますます恥ずかしくなってくる。
あー、もう、なんで大事な時はいつもこうなるんだろ…。
最初のコメントを投稿しよう!