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「お仕事…辞めるんですか?」
「ん?まだまだ先の話だよ…って言っても定年までは続けないけど」
クスッと笑う表情は、本当なのか嘘なのか読めなかった。
バリバリ仕事できるのに辞めちゃうなんてもったいない。
上田先輩が空いた穴を埋めるなんて、会社には大きな問題に思える。
「嶋岡ちゃん、そんな顔しないでよ、まだ俺仕事続けるから」
「ごめんなさい」
「美味しいよ、このフロマージュ」
スプーンで一口すくった時、私の後ろに目を向けた上田先輩の手が止まった。
「あれ?偶然」
振り返ると、2つ後ろの席に座ろうとしている男女に目がとまる。
そこには、海外にあと1週間いるはずの高瀬先輩と、ミホさんがいた。
思わず心臓がドクンと高鳴った。
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