4. 上司と後輩

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コーヒーカップを置き、上田先輩が口を開く。 「さっきの話の続きだけど…」 妙に真剣な瞳が私を捉えた。 「嶋岡ちゃんは、この会社定年まで続ける?」 「え…」 思いもしなかった言葉に戸惑う。 新入社員の私にの頭になかった質問。 もし面接の時に聞かれたら“しっかりと会社の一員として最後まで頑張ります”とかなんとか言ってしのぎそうな質問。 「あー、ごめん」 上田先輩はクスッと笑って、窓の外の夜景を見つめた。 「まだ社会人なりたてだもんね…」 ガラスに映る顔が少し寂しそうに見えた。 こんな表情、初めてみる。 何を思っているのか、何故か急に不安になった。
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