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2人きりのエレベーターの中、上田先輩が手を離す。
と、同時に振り返り、微笑みながらじりじりと近付いてくる。
背中が壁にぶつかって、上田先輩との距離は30cmもない。
「な、何ですか?」
「もう帰るの?実はもう一枚チケットがあるんだ」
顔が耳元に近付いてくる。
どうしたらいいか分からず、体に力を入れた。
「ここ、ホテルだよね?泊まっていく?一緒に」
全身に力が入り、熱を帯びる。
どうしたらいいの…。
「なーんてね」
パッと視界が明るくなり、上田先輩が離れてエレベーターのボタンを押した。
動き出したエレベーターに比例して、私の心臓はバクバクと波打った。
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