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「海浜公園まで」
それ、どこ?!
「はい」
タクシーの運転手さんは分かっていても、地方から出てきて1ヶ月の私にはいまいち地形が分からない。
遠いのか、近いのか。
そしてこんな暗いのに公園ってどういうこと?
「あの、それどこですか…」
上田先輩は窓の外を指差した。
その先には大きな観覧車。
「さっきのレストランでも怖くなかったんなら、高いところ大丈夫だよね?」
「え、あぁ、はい」
きっと私たちは今からあの観覧車に乗るんだ。
副社長に貰ったのは、あの観覧車の乗車券なんだろう。
行き先が分かったところで、手が未だに握られていることに気づいた。
でも、振りほどくと失礼な気がしてただ近付いていく観覧車を見つめた。
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