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「嶋岡さん、おつかれっす」
背後から声がかかり、振り返った。
そこには同じ企画部唯一の同期、浅井君がいた。
「…お疲れさまです」
カタカタと忙しく働くコピー機の音に、私の声は消されていないだろうか?
「新人研修と言いながらさ、初日から雑用ばっかりだったよね」
細くて長い指が慣れたようにコピー機のボタンを押すのをジッと見る。
背も高くて細い浅井君は、指先まですらりと長い。
「でもこれで終わりだって、明日はやっと休みだね」
2台のコピー機がカタカタと大きな音で働くから、私の声は聞こえないと思って微笑みを返した。
というか疲れて声を出したくなかった。
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