1.出会い

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浮かんだ酒と肴の妄想をかき消して、1000枚の資料を両手に抱えた。 まだ動いているもう一台のコピー機の音を背に、会議室へと急いだ。 先に運んだ別の資料の横に、出来上がったばかりの資料をドサっと置く。 新人研修というか、雑用の1週間だった。 でも、この仕事にもいつか慣れる。 そして同じような仕事を繰り返す。 気付けば社会の歯車になっていく。 …何の面白味もない。 学生時代と比べてはいけないとは言うけど、やっぱり比べてしまう。 このまま地元の友達とも離れていって、ただただ会社のために生きていくことになるのかも…。 1週間の疲れで身も心もボロボロだからなのか、マイナス思考に拍車がかかる。 机についた手の甲にポタッと涙が落ちた。
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