1.出会い

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10分くらいして目の赤みも少しひいて、企画部の部屋に戻った。 「あ、嶋岡さん、仕事片付いた?」 優しいトーンの浅井君がニコッと微笑む。 「俺ら最後だからカギかけるよ」 「あれ…会議室に誰か…男性いなかった?」 「えっ、いなかったよ?!え、キャー、こわーい!」 あざとい女子のようにオーバーに驚く浅井君の仕草が面白くて思わず笑った。 「他のフロアにいるのかもね、でもここの部署は俺らが最後だから」 会社は部署ごとに階が分かれていて、さらに社員証をかざさないと部屋は開かない。 最後に帰る人は部屋のカギをかけて1階の警備員さんに渡して帰る、というのは入社翌日に聞いて、もう3回目の仕事だ。 すでに手慣れたようにカギをかける浅井君にお礼を言って、エレベーターで1階に下りた。
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