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琉生が僕に甘い夢を魅せていった次の日。
「今週の日曜日デートしよう」
「はい?」
席に着いた途端、後ろの席の琉生がそう言った。
半ば反射的に振り返ると、彼は至って真剣な表情をしていた。
「遊園地行こう。いっつもお家デートばっかりだから。」
はぁ、と呆気にとられている僕よりも先に、彼の隣の席の女子が「ん゛っ!?」と妙な叫び声をあげた。すかさず琉生が「黙れ腐女子」とツッコミ。彼女は「すみません」と笑いながら答え、席を立った。
「健太、デートしよう」
「……彼女さんに怒られるよ」
動揺しすぎて、ようやく紡ぎだせた言葉はすごく気弱なものだった。それでも琉生は気に留めず、「遊園地、遊園地」と繰り返している。
折れたのは僕のほうだった。
多分、昨日の甘い夢の残滓が、思考回路に絡みついていたんだろう。仕方ない。
僕はやっぱり琉生が好きなんだ。
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