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「ごめん、健太。もう終わりにしよう」
彼がそう切り出したのは、遊園地に遊びに行った日の三日後のことだった。
屋上へと続く、日の当たらない階段。
誰も訪れないその場所で、壁にもたれかかった僕の横に手をついて、彼は吐息交じりに告げたのだ。
僕らのお遊びの終わりを。
__そっか、終わりか
その程度にしか思わなかった。
自分でも恐ろしいくらいあっさりしていた。
僕が何か言う前に、彼は続けた。
「バレた。彼女に。俺たちの関係。」
別にいいんじゃない、そう言いそうになって、口を噤んだ。
「遊園地、あいつもいたんだってよ。笑えないよな。友達と来てたって。何で気付かなかったんだろうな。」
それがなんだよ、
「薄々感付いてはいたんだって。だったら別れるかって言ったら、あいつ、」
「いいよ」
言葉を遮る。聞いたって無駄だ。そう思った。
琉生は手を下して、「ごめん」と呟いた。
「別に謝る必要ないよ。わかりきってたことじゃん。
そんなもんだよ、遊び半分の恋人なんてさ」
そっと琉生の体に腕を回す。
彼の耳元で、これ以上ないくらい感情の抜けた声で囁いた。
「まぁせいぜい、ちゃんとお片付けしときなよ。
その僕への感情を。」
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