食べかけの林檎に齧り付く

遊び半分のちゅー

　＿＿僕と琉生は、遊び半分の恋人だ。
　そういうお年頃の男子中学生が、ちょっとした出来心で付き合ってみただけだ。
　現に、琉生にはちゃんとした彼女がいる。
　ぶっちゃけ浮気、というか二股みたいなものだけど、ほら、僕との関係は遊び半分だから、いいんだ。多分。彼女は僕らの関係を知らないらしいし。

　行き過ぎただけのただの友達同士。
　そんな感じのはずだけど、時々、「あぁ、信頼されてるなぁ」と実感することがある。

　琉生は潔癖症だ。
　温泉は何が何でも行きたがらないし、5月に行った修学旅行のときだって、お風呂が個別だってことにめちゃくちゃ喜んでたし。誰かが手をつけた食べ物は絶対に口にしないし、たとえ彼女相手でもキスなんてしない。
　そんな彼が僕の食べかけの林檎に齧り付くなんてもうとんでもないことだし、めちゃくちゃ嬉しいし。「あぁ、信頼されてる。好かれてる。」と思うわけだ。

　そして、それは今もそうで。