青年

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私は、琴美。占い師をしているの、デパートのフロアーで人々の話を聞いたり、未来を占うのが仕事。今日は地下鉄に乗って新宿に向かったの。電車の中には色々な人々が乗っている。私はその人達の性格や未来が、見える透視能力を持っているの。  琴美は、ある青年に目をつけた。思い詰めた表情をしていた。 「いけない、あの人を救わなければ」  その青年は電車を降りて、高層ビルに向かっていた。琴美も追いかけた。青年は最上階に向かい、金網をよじ登っていた。 「馬鹿なことを考えるのはやめなさい!生きていれば、やり直しは利くわ、リストラが何よ!失恋が何よ!」 「あんた、誰だ?なんで俺の悩みがわかるんだ?」 「私には人の心が見えるのよ、そこから降りなさい、さあ、こちらへきて話をしましょう」 青年は金網を降りてきて、泣き出した。  琴美は、電車に乗っている。隣にはあの青年が座っている。 「あのね、いくら占い師見習いだからといっても一緒について来ないでよ」 「いいえ、オレ弟子ですから、何処でもついて行きます。師匠」 「私は師匠じゃないわよ、琴美さんって読んで!」 「はい、琴美師匠」  琴美と青年はお互い笑っていた。
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