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ま、結果だけ言っちゃえば俺は無事に帰って来たよ。
そうじゃなかったらこんなところに報告なんてしてないだろ笑?
もちろんニセテツの中で俺は大パニックだったし、電波届くのをいいことにそこら中に助けを求めたよ(当然頭おかしい人と思われたわ)。
その節は…本当ご迷惑をおかけしました。
そうなんだよ。ニセテツ、電波届くんだよ。だから気づかない奴は最後まで気づかないんじゃないかなぁ…?ホームでスマホゲームに夢中になってる奴なんて、最近ごまんといるからさ。
ああ、ニセテツのスピードが落ちて住吉駅のホームが見えて来た時、嬉しさのあまりちょっと泣いちまったよ。小町ちゃんは「都営線じゃなくてメトロのどこかに下ろしてくれればいいものを…」って毒づいてたな。
あれが彼女なりの安心なんだろう、多分。
なんでも小町ちゃん、これが3回目の生還らしい。
「あまりに常連になりすぎて、業者さんに目をつけられているんですけどね」
俺がストーカーと勘違いした陸軍野郎のことを指しているようだった。地下鉄乗るのやめたら?って聞いたけど、そうもいかない理由があるんだと。
「〝視える〟ようになってしまったならば、とにかく気をつけていることです。周りが足を動かしているからって安易に同調しないこと」
「肝に命じておきます…」
俺は蛇の目柄の車両を見た。俺を食用肉に変えようとしていたニセテツは住吉駅で口を開けたまま動かずにいる。
「〝危険ですから、おさがりくださーい〟」
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