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あ、実はストーカーと思われてたのが俺で、この後警察に追いかけられたりするみたいなオチじゃないから安心してくれ。 俺は人畜無害、ついでに言えば全くもって無能な「たまたま居合わせた人」なんだ。ホトケサマに誓ってな。 数週間、俺は自分の仮説をふまえてあの子の様子を観察した。 暇な奴だなって思うだろ?実際暇だったんだ。 …やっぱりあの子は車両に乗り込む面子を気にしているようだった。 特定の曜日になると奴との遭遇率が跳ね上がるのか、もう絶対学校間に合わないぞって時間までホームに粘ってるんだよ。 「近づいてくんじゃねぇ」って殺気立ったオーラをビンビン出してさ。 不思議と恐い顔が様になるんだよなぁ。 とはいえ、所詮十台前半の子どもだ。知らない人間につけ回されていたら、さすがに参ってくる。 毎日顔色を盗み見ているとやっぱり疲れが滲んでる。 さすがの俺も「そろそろただの傍観者を気取るのはまずいよなぁ」って思っていた頃だった。 とうとう遭遇しちまったんだ、件のストーカーに。
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