プロローグ

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ー卒業式ー  あー、眠い。 卒業証書授与長い。 そして袴キツい。 脱ぎたい。 「赤城 弘樹」 「はい」  呼ばれた、一番背の低い男の子を見て、私は思う。 …やっとうちのクラス来たのか…。 6年3組の女子で、一番背が高い私は、学年全体で最後に卒業証書の授与をされる。 つまり、私が証書をもらって席につくまで、卒業証書授与が終わらないってこと。 あー、もう帰りたいな。 …。 「三島 大司」 「はい」 ……。 「田仲 広大」 「はい」 ………。 『ねー、はるー』 『ん…何だよ』  先月の、兄さんと弟の春樹の会話を思い出す。 いやー、これは忘れられないなぁ。このあと…。 『はるの好きな人ってさ…』 『っ?!!いきなり何?!』 『いや、前に好きな人がいるって言ってたじゃん?』 『っ…ま、まあ、言ったけど』  なんて話になって、 『それがね、誰かなーって』 『!なっ、べ、別に?!兄ちゃんが好きな訳じゃないしさ…!』 『えぇー?僕じゃないの?』 『ち、違うよ!!』  なんて…きゃーっ! ヤバいだろこの春樹の反応! いやね、春樹が好きな子、私は知ってるけど…これは勘違いされてもおかしくないって! 顔真っ赤になって否定とか、ツンデレの見本だよ! あとなんで兄さんは残念そうなの! 犬がしょんぼりしてるようにしか見えないっ!
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