真っ白な手紙

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 手紙の主に不満をぶつけていると、電車が大きく揺れ、痴漢からは解放されたが、私の体はふらふらとよろめき、座席に座っている頭部が少し薄目なおじさまの膝の上へと誘われちょこんと乗ってしまった。すぐに立ち上がって謝ろうとしたところ正面からイケメンが再びの電車の揺れにより突進してきて私の胸を鷲掴みにした。こういうことか?こういうことなのか!手紙の主よ!  さらなる不満を手紙の主にぶつけ、平謝りしているイケメンを横目に私も膝の上をお借りしたおじさまに同じく平謝り。ちょうど、駅に着き、私は本来降りるべき駅ではなかったが、逃げるようにして電車を降りた。  「はあ。いったい今日はなんなんだ。いつも満員電車だけれどこんなことは一度もない。異常だ。あの手紙のせいか?あんな手紙が届いた。いや、見てしまったから?」  いつの間にか私の頭の中にはあの、手紙のことだらけになっていた。思考のすべてが、あの手紙に振り回され、周りのことなど視界に入らないほどに。  「私はいつだって無難な選択をしてきたはずだ。だからこれまでも特に異常のある人生は送ってこなかった。今日の朝、あの手紙さえ――」  知らないうちに私は朝の混雑したホームを歩き回っていた。それもよく知らない駅のホームで。そこに柱があることを私は知らない。  ドンッ――。  私は柱にぶつかり、よろよろとふらつき、ホームから線路へと飛び出した。  そこへ、運悪く、ホームへと電車が入ってきた。私は、電車の顔面とにらめっこをした。  
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