プロローグ

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 やがてその行為に満足したのか、今度は陰茎に当てた手をゆるゆると上下させ始めた。俺がこれまでそうさせてきたように。  ヌチャヌチャと粘着質な水音を立てる彼女の手のヒラは、可塑性が高く、物理的に「掴みどころがない」ような、それでいて無機質な、独特の感触だ。そんなモノにサワサワと撫でられた程度では、性器への刺激としては物足りなさが否めない。ただ、そのヌチャヌチャとした体液が粘性を帯びているために後を引くむずがゆさ……奇妙な感覚があって、これがなかなかじれったい。 (ゆるめのオナホって、こんな感じだろうか) 人知を超えた感触だが、行為の意図もあって、あのシリコン製の筒を連想させた。ローションを纏った無機物に撫でられているような感覚は、敢えて何かに例えるならそれが一番近いような気がした。
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