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必殺技がクリティカルヒットした左頬が腫れて、ダメージがかなり残っていること以外は大丈夫かな……。
「で、話の続きだけど……喋ったって、言ったわよね?」
「あ、あぁ……最初は空耳かなぁって思ったんだけど、でも繰り返し聞かされたら、さ」
「『憎い』って?」
「そうそう。なんなんだろ? 何が、憎いんだろ?」
「……その人確か、白装束着てるって、言ってたわよね」
「ああ、うん。それが?」
どうしたと言うのか、麻衣子は何か考えこむように黙ってしまった。
無言で過ぎ去る時間と日陰の冷たい風。
や、やめてよ!
また何か聞こえたらどうすんのさ!!
「それ、白装束って、ようは【死に装束】よね?」
「え? ああ、うん。葬式で仏さんに着せるやつ」
「なら、さ……その見えてる人って、幽霊、なんじゃないの?」
「薄々そう思ってたけどさ……それを言葉にしちゃうと、もっと怖くなるんですけど」
その事実は、見ないように必死で目を背けていたのに。
「ちゃんと向き合いなさい。何か意味があって見えているんでしょ? なら、勇気だして立ち向かいなさいよ!」
「そう、言われましてもね……」
しかしこのままでは埒が明かないのも事実。
ここは勇気を振り絞って、もう一度左目を開けてみよう、か――?
「あ、あれ? 麻衣、子?」
「なに? どうしたの?」
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