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「オマエ、その目、どう、した?」
いやな汗が背筋を伝う。
俺の第六感的生存本能が、全力で危険信号を出し始めた。
ふと見た幼馴染の顔。
その目が、死んだ魚みたいに、虚ろに――!?
「いつまで、目を閉じているの? ねぇ、開けて」
細く白い麻衣子の両手が、俺の首元に伸び――
「開けてよ、ほら……アタシを見てよ!」
「や、めろ……! 麻衣、子……がはっ……!」
く、苦しい。
喉を化物みたいな握力で締められて、息が……!
いや、確かに麻衣子は怪力だが、それでも、俺が両手を使って指一本動かせないなんてことは……ありうる?
いやいやいやいや無いって!
さすがに無い!
これは……なら、この現状は……?
「く、そ――!」
俺は後ろに倒れながら麻衣子の腹部を蹴り上げ、巴投げを仕掛けた。
勢い良くすぽーんと飛ばす過程で、何とか首を解放することに成功。
麻衣子は猫みたいに空中で身を翻して、音もなく四足で着地。
俺はのろのろと起き上がりながら、それでも迎撃体勢を取る。
奴はまた――来た!
「やめ、ろ! 麻衣子! 正気に戻れ!」
飛びかかり、また俺の喉元を狙ってくる麻衣子。
狙いは分かっていたので、今度はその手を掴む――だが。
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